東京高等裁判所 昭和45年(行ケ)15号 判決
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〔判決理由〕本件考案の要旨は、原告主張のとおりのものであつて、<編注―本件考案の要旨は、昭和三六年二月一一日付手続補正書により訂正した説明書の登録請求の範囲の項に記載されたとおり、「硬質合成樹脂製容器(A)の周壁上縁端面に、平面部(3)を形成し、この平面部(3)に続く下方外側に略半円の彎曲膨出部(4)を形成し、この彎曲膨出部(4)の下側を側壁垂直面部(5)と連続する傾斜面(6)に形成し、この容器(A)に嵌合する軟弾性合成樹脂製蓋体(B)の下方屈曲周縁(8)を、前記容器(A)の彎曲膨出部(4)に合致するように内壁を彎曲させ、この内壁彎曲凹部(9)の内側下部密接端(12)を前記容器(A)の膨出部(4)の下部傾斜面(6)の途中迄とし、この密接端(12)の下方を外側傾斜面(10)に形成し、前記屈曲周縁(8)の肉厚を彎曲凹部(9)に於て稍薄く彎曲凹部(9)の下端から傾斜面(10)部へかけて肉厚とし、更に下端縁(11)を断面略V字状に形成してなる弁当用菜容れの構造。」(別紙第一図面参照)>この点につき、本件審決は、原告主張の構成要件、すなわち硬質合成樹脂製容器(A)の彎曲膨出部(4)に合致するように内壁を彎曲させた軟弾性合成樹脂製蓋体(B)の「内壁彎曲凹部(9)の内側下部密接端(12)を前記容器(A)の膨出部(4)の下部傾斜面(6)の途中迄とし、この密接端(12)の下方を外側傾斜面(10)に形成し」という要件を誤認看過したものといわざるをえないこと、本件考案は、右構成要件と容器(A)の彎曲膨出部(4)が半円形状であることとが相まつて、蓋体(B)の弾性を利用して、内外同形状のものが密着嵌合して、容器(A)と蓋体(B)との間にシール面(S1)および(S2)が形成されるようになり、密着効果を奏するものであること、これに対し、引用例記載のものは、硬質合成樹脂製の容体(11)の肉厚膨出部(13)の下縁が弾性合成樹脂製蓋体(12)の周縁(14)の内周面に形成されている傾斜面の途中(16)の点において噛み合い、蓋体(12)の周縁(14)の内周面にくい込んで凹部を形成し、このように接触変形して嵌合するものであること、したがつて、本件考案と引用例記載のものとは、容器と蓋体との密着嵌合の態様を異にし、シール面の形成およびその効果においても、必ずしも同一のものとはいえないことを認めることができる。
以上の認定によれば、本件考案と引用例記載のものとは、容器の膨出部上面と蓋体上面の平担面によるシールおよび膨出部側面と蓋体側面のシールにおいてまつたく一致し、結局両者は類似のものであるとした本件審決の認定判断は、考案要旨の誤認に起因して、結局誤つたものであるといわざるをえない。
三 以上のとおりであるから、本件審決を違法としてその取消を求める原告の本訴請求は理由があるものと認めて、これを認容する。
(服部高顕 石沢健 滝川叡一)